チタンコートフライパンの安全性や有害と検索される理由

金属のチタンを利用して作られたチタンコートは、コーティングのなかでも耐久性に優れている表面加工です。

しかし、「フライパン チタンコート」とGoogleで検索してみると、「有害」というサジェストが一番上に出てくるのが気になります。

サジェストに出てくるということは、それだけ多くの人が「フライパン チタンコート 有害」と検索している証拠になります。

コーティング加工が施されていると、くっつきにくくお手入れが楽になりますが、安全性に問題があるなら使用は控えたいところです。

実際に、チタンコートのフライパンは安全性に問題があるのでしょうか?

そこで今回は、チタンコートフライパンの安全性について詳しく調査しました。

チタンコートフライパンが「有害」と検索される理由も併せて解説しますので、安全性に不安がある方は一度ご覧ください。

目次

チタンコートフライパンの安全性について

まず、結論から言いますと、チタンコートフライパンは安全性に問題ありません。

チタンコートフライパンが有害ではないのかと多く検索されていましたが、以前フライパンのチタンコートってなに?メリットデメリットや効果についてという記事を作っておりますので、チタンコートの基本情報はこちらの記事をご参照ください。

チタンは安全性に優れた金属

チタン(Ti)は、生体適合性の高い金属です。

数10年体内に入っても異常をきたさない体にやさしい金属であることから、人工関節やインプラントといった医療分野において欠かせないものとなっています。

さらに、チタンにはアレルギー症状が出にくいといった特性もあります。

表面に酸化被膜をつくることで内部の金属イオンが溶け出さないため、金属アレルギーの方でもアレルギー症状がほとんど出ず、安心して付けられます。

チタンの3大特徴「軽い・強い・錆びにくい」を活かしたチタンコートフライパンは、耐久性が高さが魅力的です。

チタンコートは、ダイヤモンドコートやマーブルコートといったフッ素樹脂加工の中でもトップクラスの耐久力を持ち、3年以上の長期使用も見込めます。

本来チタンは熱伝導率が低く、温まるまで時間がかかる金属です。

しかし、チタンコートフライパンの本体は熱伝導率が高いアルミニウム。それにより、チタンの熱伝導率の悪さを打ち消しながら、酸や塩に強く・錆びにくいフライパンに仕上げています。

このようにチタンコートは、人体への影響が少ないチタンを利用した、高耐久力が自慢のフライパンです。

チタンコートフライパンが有害と検索される理由

チタンコートフライパン自体に危険性がないと分かりましたが、なぜ有害と検索されているのでしょうか。

その理由は、大きく分けて以下の2つが考えられます。

  1. フッ素樹脂PTFEの有毒ガスによるもの
  2. 発がん性が確認されたPFOAによるもの

理由①:フッ素樹脂PTFEの有毒ガスによるもの

「毒性」とサジェストに出てくるのは、フッ素樹脂加工(コーティング)が大きく関係しています。

チタン自体は安全で丈夫な素材です。しかし、フッ素樹脂加工の1種である「PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)」が高熱状態になると、有毒ガスが発生してしまいます。

この有毒ガスは表面温度が約360℃になると発生し、吸い込むと「ポリマーヒューム熱」と呼ばれるインフルエンザのような症状を引き起こします。

ただ、加熱していない状態のPTFEには危険性がないので、空焚きを避ければ問題ありません。

PTFEの劣化が始まる260度にならないように、過度な加熱は避けましょう。

参考:テフロンⓇ加工フライパン4時間の過燃焼により生じたフューム吸入による肺水腫の1例|一般社団法人日本呼吸器学会

理由②:発がん性が確認されたPFOAによるもの

チタンコートフッ素樹脂加工が有害と検索されるのは、過去に危険性が発見された「PFOA」も関係しています。

PFOA(ペルフルオロオクタン酸)とは、フッ素樹脂の1種です。

フッ素ポリマー加工助剤や界面活性剤などに使われてきましたが、有毒性・難分解性・高蓄積性・長距離移動性、という問題点があります。

さらに動物実験によって、発がん性や免疫系への影響が発見されたことから、国内では2021年にPFOAを含んだ製品の製造や輸入等を原則禁止としました。

そのため、現在日本国内に出回っているフライパンにPFOAが含まれたものはありません。

ただ、コーティング=危険という印象が未だに根強いため、「チタンコートも有害」と捉えられていると考えられます。

参考:PFOA及びPFOSに対するIARCの評価結果に関するQ&A|内閣府 / PFOS、PFOA に関するQ&A集|環境省

結論:高温に気を付ければ安全に使える

この記事では、チタンコートフライパンの安全性と、有害と検索される理由を解説しました。

チタンコートフライパンについて、安全性に問題はありません。

「フライパン チタンコート 有害」と検索欄に出てくるのは、フッ素樹脂の1種であるPTFEとPFOAが関係していると推測されます。

チタン自体には耐熱性がありますが、フッ素樹脂のPTFEは360℃以上の高温になると有毒ガスが発生してしまいます。

PTFE自体に害はないものの、有毒ガスを吸い込むとインフルエンザのような症状を引き起こすことから、チタンコート=有害という印象が付いたものと考えられます。

また、発がん性が確認されたPFOAでしたが、現在の日本にPFOAが含まれたフライパンは売っていないので、安心して構いません。

チタンコートは保温性に優れ、どのコーティングよりも耐久力が高く、長期間使用できる魅力的な表面加工です。

フッ素樹脂加工のフライパン全般に言えることですが、チタンコートフライパンを使用する際は空焚き状態での加熱し過ぎに気を付け、安全に使用しましょう。

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