有機フッ素化合物の一種であるPFOSやPFOAの有害性が問題視されているテフロン加工。日本における流通も規制されているのでは?と心配している方もいるでしょう。
実は、テフロンフライパンに使用されるPFAS有機フッ素化合物には数千種類以上あり、そのごく一部の物質にのみ有害性が認められているのです。
この記事では、国内外におけるテフロンの禁止・規制の状況や使用上の注意点、テフロン加工以外のフライパンの選択肢ついてご紹介します。
国内外におけるテフロン規制・禁止ルールの現状についてチェックしましょう。
テフロンは日本では禁止・規制されている?
テフロンはPFAS(有機フッ素化合物)の総称。その中でも、フライパンの界面活性剤や金属メッキ、半導体の反射防止剤として広く使われてきたPFOS・PFOAは環境への蓄積性や発がん性の高さ、体内の免疫系へのダメージから生産・輸入が禁止されています。
2020年に厚生労働省では水道水の水質管理目標設定項目を新たに位置付け、PFOS・PFOAの合計が1Lあたり50ナノグラム以下とするような安全基準を設けていますね。
ただし、PFASの総数は10,000種類を超えます。有害性が認められた有機フッ素化合物を使っていないテフロンフライパンに関しては、販売が許可されているのが現状なのです。
参考元
ヨーロッパにおけるテフロン規制の現状
PFOS・PFOAに代表される有毒な有機フッ素化合物を使用した製品の製造・輸入禁止の取り組みを推進したのは、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」と呼ばれる国際的な取り決めが採択された面が大きいです。
同条約によって、PFOS・PFOA・PFHxSなどの製造・輸入が禁止されています。
EU議会ではこの規制よりも一歩前に進み、2023年1月13日付けでPFAS全てを規制する提案が提出されました。これは欧州で最大規模の化学物質管理規制になる見込み。2025年内に10,000種類を超えるPFASすべてがEUで規制される予定です。
現時点で有害性が認められていないPFASを容認する姿勢をとる日本とは異なる政策をとっています。
参考元
みずほリサーチ&テクノロジーズ|欧州における永遠の化学物質「PFAS」の規制案
【疑問】フライパンのテフロン加工は?
フライパンのテフロン加工に関しては、アルミやステンレスなどのフライパンにハード下地コーティング・PTFEの2層コーティングが施されているのがほとんどです。
このPTFEを安定させるための補助剤として使われてきたのがPFOS・PFOAでした。
しかし、前述したようにPFOS・PFOAの有害性が発覚して国際的に使用が禁止されてからというもの、これらの物質を使っていないテフロンフライパンが製造されています。
そのため、フライパンの使用上の注意点さえ守れば安心して使用できますよ。
テフロンフライパンを安全に使うための注意点
テフロンフライパンを安全に使うためには以下の注意点を守りましょう。
- 260℃以上の温度で加熱し続けない
- 金属製の調理器具は使わない
- 食べ物を入れたまま放置しない
テフロンフライパンは260℃以上で加熱するとコーティングが溶け出し、350℃前後になると毒ガスが発生してしまいます。基本は中火以下で空焚きしないようにしましょう。
調理時に金属製のフライ返しやトングなどを使うと、フライパンの表面を傷つけてしまうおそれがあります。洗い物をするときに金たわしで洗うのもやめましょう。
また、調理後にあまった食べ物をフライパンに乗せたまま保存する方もいますが、食べ物の油分や塩分がフライパン表面に浸透してコーティングがダメになってしまうことも。
これらの注意点をおさえて調理すれば、安心してテフロンフライパンを使えます。
テフロン以外で安全性の高いフライパン
テフロンの禁止・規制に関しては以下の質問がよく挙げられます。
- 鉄製フライパン
- ステンレスフライパン
- セラミックフライパン
コーティングされていないので、有害物質が溶け出すリスクも、有毒ガスが発生するリスクもありません。
鉄製フライパンに関しては鉄分の補給にも役立ちますし、ステンレスフライパンは保温性が高いので余熱調理に便利です。セラミックフライパンは強度の高さが魅力的ですね。
日本では有害ではないテフロンフライパンが買える!
この記事では、日本ではテフロン加工が規制・禁止されているのかについてご紹介しました。PFOS・PFOA・PFHxSの製造・販売が禁止されていますが、そのほかの有機フッ素化合物に関しては製造・販売が許可されています。
テフロン加工のフライパンは260℃以上の高温で加熱し続けると、テフロン加工が溶け出すリスクがあり、350℃以上になると毒ガスが発生してしまうといわれています。
コーティングが剥がれてしまわないように、調理時の加熱しすぎや金属製の調理器具を使用しないこと、食べ物を入れたままにしないことなどの注意点をおさえましょう。
もしもテフロンフライパンを使うのが心配だという方は、鉄製やステンレス、セラミックフライパンなど、より安全性が高いと考えられているフライパンもおすすめです。
自分の用途に沿ったフライパンを選んでみましょう!