「鋳物(いもの)ってどんなものなの?」「鋳物製と鉄製フライパンの違いって?」と考えている方は多いのではないでしょうか。
フライパンや鍋の原料や製法によって、その調理器具がもつ特性や性能は変わります。この記事では、そもそも鋳物とは何か、鋳物製と鉄製商品の違い、鋳物製のフライパンを使ったおすすめの料理についてご紹介します。
鋳物製と鉄製商品の違いを知って、調理器具を選ぶ際の参考にしてみてください。
そもそも鋳物(いもの)とはなに?
鋳物とは、金属の融点(金属の種類によって融点と沸点は異なる)よりも高い温度で溶かし、特定の鋳型に流し込んだあと、冷やし固めて作られた金属です。形成したい型に溶かした金属を流し込んで自由自在に形成できるので、用途が幅広い点が特徴です。
金属の種類 | 融点(目安) | 沸点(目安) |
鉄 | 1536℃ | 2863℃ |
銅 | 1084.5℃ | 2571℃ |
鉛 | 327.5℃ | 1750℃ |
このように、鋳物は家庭用のフライパンや鍋だけでなく、日用品や自動車用の部品、建築用部品、機械部品、美術工芸品など、幅広い商品に利用されています。
具体的には、金属の種類によって、以下のような用途に使い分けられるのが特徴です。
- 鋳鉄鋳物・・・フライパン、鍋、マンホール、鉄瓶など
- 鋳鋼鋳物・・・歯車、キャタピラ、ブレーキシュー、ローラなど
- アルミニウム合金鋳物・・・フェンス、ベンチ、エスカレーターステップなど
- マグネシウム合金鋳物・・・ノートパソコン、一眼カメラ、スマホなど
- 銅合金鋳物・・・水道蛇口、仏像、ポンプ、美術景観部品など
一口に鋳物といっても、鋳物に使用される金属によって性質は異なり、鋳物の使い道もさまざまであることを知っておきましょう。
鋳物製と鉄製商品の違い
鋳物製と鉄製商品の大きな違いは、鉄の中に含まれる炭素の含有量です。炭素の含有量が多い順に鋳鉄(2.14%以上)・鉄鋼(0.02〜2.14%)・鉄(0.02%)となっており、鋳鉄を使った商品は炭素が多い上に、硬く頑丈だといえます。その一方で、炭素が少ない鉄性商品は硬度が劣る反面、鉄の部分がしなやかである特性をもちます。
鋳物製のフライパンは、溶かした鉄を砂型に流し込み製造するため、砂の模様が転写され、フライパンの表面がザラザラしている点が特徴です。水分や油分がよく浸透するので、油なじみが良い点が魅力だといえます。また、蓄熱性も高いので、ゆっくりと加熱調理する調理法にも活用可能です。
鉄フライパンは熱伝導に優れ、高温にも強いですが、油なじみの良さやじっくりと加熱調理できるという点においては鋳物製のフライパンに優位性があります。
ただし、鋳物製のフライパンは重く、お手入れをしないと錆びてしまう可能性も。鋳物製のフライパンを使いはじめるなら、その使い方に慣れておく必要があります。
じっくりと食材を加熱し、美味しい料理を作るなら鋳物製のフライパンを選びましょう。
鋳物製フライパンで絶品料理!おすすめの料理3選
鋳物製のフライパンだからこそ、美味しく作れる素材や料理があります。ここでは、鋳物製のフライパンを手に入れたら、必ず作ってみたい絶品レシピを見ていきましょう。
料理①:フライドチキン
熱が逃げにくい構造の鋳物製のフライパンなら、揚げ物づくりにぴったりです。油を加熱すれば、適温を維持したままジューシーな揚げたてのフライドチキンだって作れますよ。
揚げ物づくりの成功の鍵は適温をキープできるのか否かにかかっていますが、鋳物製のフライパンを使用すれば、理想的な温度で揚げ物を調理できるのが魅力です。
料理②:自家製ピザ
鋳物製のフライパンを選べば、生地から作る自家製ピザも簡単に作れます。オーブンに入れても問題なく高温調理でき、ピザ作りには最適です。好きな具材をピザ生地の上に乗せて、自分にとってベストなピザを焼き上げてみてはいかがでしょうか。
料理③:アップルケーキ
鋳物製のフライパンなら、コンロやオーブンに入れても大丈夫。高温調理が必要な焼き菓子やケーキづくりに使うと料理が美味しく仕上がります。酸味と甘味が抜群にマッチしたアップルケーキを作れば、家族から絶賛されること間違いなしです。
まとめ:鋳物製と鉄製のフライパンは炭素量と性質が異なる
この記事では、鋳物の定義や鋳物製と鉄製商品の違い、鋳物製フライパンで作るおすすめの料理についてご紹介しました。鋳鉄や鉄鋼、鉄フライパンといった商品名を耳にすることがあるかと思いますが、この名称の違いは含有される炭素量の違いに由来します。
炭素量が多い鋳鉄は硬度が高く、とても丈夫なフライパンです。また、熱伝導に優れ、高温調理も可能です。フライパン自体の重さやお手入れには注意ですが、それだけ美味しい焼き料理や揚げ料理、オーブンを使った料理などに幅広く活用できるのが魅力です。
鋳物製のフライパンや鍋を活用して、ワンランク上のお料理を作りましょう!