「鉄フライパンの加熱時に発生する酸化被膜が気になる」「酸化被膜を摂取する健康上のリスクがあるのか気になる」と考えている方は多いのではないでしょうか?
酸化被膜は鉄フライパンやアルミフライパン、銅フライパンなどの金属の表面で鉄と酵素が反応することで形成される保護膜のことです。
このように聞くと、「フライパンにとってはメリットがあるかもしれないけど、私たち人間の身体にとって有害ではないのだろうか?」と心配になってしまう方もいるでしょう。
この記事を読めば、鉄フライパンに発生する酸化被膜の概要や健康に対する影響、酸化被膜が担う役割、酸化被膜が形成されるプロセス、手入れ方法について理解できます。
酸化被膜の役割やメリット・注意点について知ったうえで、鉄フライパンを購入しようと考えている方は参考にしてみてください。
鉄フライパンの酸化皮膜とは?健康への影響は?
酸化被膜とは、鉄フライパンを加熱することで表面と鉄と酸素が反応して生まれる物質です。酸化被膜があることでサビの発生を予防し、フライパンを保護できるので、市販の鉄フライパンには酸化被膜が施されていることがほとんどです。
鉄が錆びて発生するのは赤サビと呼ばれる酸化鉄ですが、酸化被膜は鉄フライパンを加熱することで生まれます。色は灰色や黒色、青色など、加工によって異なるのが特徴です。
市販フライパンであれば安全基準をクリアしているので健康上の心配はないですが、どうしても心配なら天然素材のみを使用したフライパンを選ぶと安心です。
参照元:株式会社ケミコート|酸化皮膜とスケールに関するまとめ
酸化被膜とスケールの違い
鉄と酵素が反応してできるのが酸化被膜ですが、スケールは水に含有される石灰が結晶化したものです。前者にはフライパンを保護する機能がありますが、スケールにはありません。また、スケールは金属石鹸の原料として使われることもあります。
酸化被膜のメリット
鉄フライパンに酸化被膜をコーティングすることで、以下のメリットが考えられます。
- 保護膜で鉄フライパンをサビにくくする
- 油なじみがよくなる
鉄フライパンに酸化被膜をコーティングするメリットは、酸化被膜で表面をコーティングすることで鉄フライパンの鉄を安定させ、赤サビによる侵食を防ぐ点です。
また、鉄フライパンに酸化被膜ができると、フライパンの表面に微細な凹凸が生まれます。この凹凸によって油が馴染みやすくなり、食材の調理がスムーズになるのです。
酸化皮膜はどうやってできる?
鉄フライパンの酸化被膜は以下のようなプロセスで形成されていきます。
- 銀色の鉄フライパンは240℃前後で褐色になる
- 290℃を超えたところから濃い青色になる
- 400℃前後で青みの強い灰色になる
- 585℃から酸化被膜(黒サビ)が形成されはじめる
- 600℃前後で赤く発色しはじめたらコーティング完了
酸化被膜の効果を最大限に得るためには585℃前後まで加熱することが理想ですが、400℃になるまで加熱し、青みが強い灰色になるまで加熱するだけでも効果があります。
ただし、黒皮鉄フライパンはもともと酸化被膜によってコーティングされているので、使用前に加熱して酸化被膜を作る必要はありません。鉄フライパンの色味によって、加熱処理すべきかどうか判断しましょう。
鉄フライパンのお手入れ方法・使い方
鉄フライパンをストレスなく使うためには、以下のようなお手入れが大切です。
- 鉄フライパンを中火で2〜3分ほど空焚きする
- 乾性油(えごま油やアマニ油)や半乾油(サラダ油やごま油)を多めに入れる
- 中火で2〜3分ほど加熱したら、余分な油を回収する
- キッチンペーパーなどで全体に油を馴染ませたら完了
鉄フライパンで調理したら、鉄がまだ温かいうちにお湯を使ってたわしで表面を洗いましょう。コーティングが剥がれないように洗剤を使わないのがポイントです。
鉄フライパンはそのまま放置しているとサビてしまうので、加熱して水気をきったら油ならしをしてフライパンの保管場所に置いておきましょう。
鉄フライパンの油ならしの方法については、別の記事でも紹介しています。
鉄フライパンの酸化被膜は長く使い続けるための強い味方
鉄フライパンの酸化被膜は鉄フライパンの鉄を安定させて、赤サビの発生を防止します。市販の黒皮鉄フライパンには酸化被膜でコーティングされているものが多いです。
赤サビにもサビ防止効果がありますが、酸化被膜(黒サビ)の方が効果が高いです。
健康への悪影響を心配する方もいますが、市販のフライパンは安全基準をクリアしており、中でも天然素材で製造されているフライパンであれば何ら問題ありません。
酸化被膜がコーティングされていない銀色のフライパンを使う場合は、400℃以上になるまで加熱して酸化被膜を作り、油ならしをしてから使うのがおすすめです。
酸化被膜をうまく活用して、長く使い続けられるフライパンを作りましょう。