鉄フライパンを長く使うためには必須となるシーズニングを知っていますか?
この作業を行わずに料理をした場合、料理が黒っぽくなり、鉄特有の匂いがついてしまうこともあります。
今回は、購入した鉄フライパンを使う前に、必ず行わなければならないこのシーズニングについて、手順や効果などを解説します。
初めての方でも、家にあるものやすぐに揃えられるもので、簡単に行うことができます。
鉄フライパンのシーズニングとは?
シーズニングとは、鉄フライパンの使用前後に行う「油ならし」のことです。
シーズニングには乾燥という意味もあり、鉄フライパンを乾燥させて手入れすることから、このように呼ばれるようになったといわれています。
必要な道具
まず、シーズニングに必要な道具には、以下があります。
- カセットコンロ
- スポンジやタワシ
- 食器用洗剤
- キッチンペーパー
- 乾性油(サラダ油)
- 菜箸やトング
- くず野菜(野菜の皮やヘタなど)
なお、ガスコンロではなくカセットコンロを使う理由は、鉄フライパンの空焼きを行うためです。
ガスコンロは、安全装置がついている場合、空焼きを行うと火が弱くなったり消えたりすることがあります。
その反面、カセットコンロではそのような心配がなく、一定の火力で空焼きができるので、失敗しにくくなります。
また、乾性油とは、空気に触れると固化する油のことです。
シーズニングは、固化した油の膜によって鉄を保護するため、この乾性油を使います。
油には、乾性油以外に半乾性油と不乾性油があり、それぞれに該当する油は以下の通りです。
乾性油 | あまに油、サンフラワー油、えごま油 など |
半乾性油 | ごま油、なたね油(キャノーラ油)、こめ油、コーン油 など |
不乾性油 | オリーブオイル、ラード、牛脂 など |
乾性油がない場合には、サラダ油で代用することもできます。
手順
では実際に、シーズニングを行うときの手順をみていきます。
- 鉄フライパンを中火にかけて全体を熱し(空焼き)、煙が出てきたら強火にする。
※煙が出るため、必ず換気をしながら行う。 - 鉄フライパンの真ん中あたりから、徐々に全体が青色っぽく変色して、煙が出なくなったら火を消して粗熱をとる。
※煙が出るのは錆止め塗装が気化しているためで、錆止め塗装を焼き切ると煙が出なくなる。 - 粗熱がとれたら、スポンジ(タワシ)と食器用洗剤を使って洗い、キッチンペーパーで水分をしっかりふき取る。
※この作業によって残った錆止め塗装を洗い流す。 - 乾性油(サラダ油)に浸したキッチンペーパーで、乾性油(サラダ油)を鉄フライパンの持ち手や裏面を含めた全体に塗り広げる。
- 乾性油(サラダ油)が十分に馴染んだら、煙が出るまで強火で熱する。
- 煙が出てきたら弱火にし、煙が出なくなるまで熱したら、火を消して粗熱をとる。
※熱し続けると、塗り込んだ油が乾いて煙が出なくなる。 - 鉄フライパンを火にかけ、野菜くず(野菜の皮やヘタなど)を焦げ付く手前まで炒めたら、火を消してお湯とタワシで表面をさっと洗う。
※このときに洗剤を使わないように注意し、お湯を使うことで急激に冷えて割れるのを防ぐ。 - 再び火にかけ、表面をキッチンペーパーで拭きながら水分を完全にとばす。
※水分が残っているとサビの原因になる。 - 再度、乾性油(サラダ油)に浸したキッチンペーパーで、乾性油(サラダ油)を持ち手や裏面を含めた全体に塗り広げた後、完全に冷ます。
なお、シーズニング自体は「手順6」で終わりですが、「手順7」以降を行うことによって、鉄フライパンから出る鉄特有の匂いを抑えられます。
また、作業をしている最中は、煙が発生したり独特の臭いが充満したりするため、しっかりと換気するようにしましょう。
鉄フライパンのシーズニングをやる意味と効果
シーズニングは、焦げつきやサビを防止するために行います。
特に、料理の際に焦げついてしまうと、上手く料理ができないだけでなく、後片付けの手間も増えてしまいます。
このため、表面の塗装やサビ止めワックスの除去をし、新しい油でコーティングするのです。
さらに、鉄特有の匂いが食べ物に移るのを防ぐ効果もあります。
シーズニングは使い始めに行っても、何回か使っていると、また焦げつきやすくなってくるので、その度に行います。
これを繰り返すことで、より焦げつきにくくなるだけでなく、長持ちさせることもできます。
こうして使い込んだ鉄フライパンは、「ブラックポット」と呼ばれる、鉄特有の黒光りした風合いへと変化していくのです。
【まとめ】鉄フライパンのシーズニング
鉄フライパンのシーズニングは、特別な技術が必要となるような難しいものではなく、初心者でも簡単に行えます。
また、必要となる道具も、すべて身近にあるものや揃えやすいものばかりです。
このひと手間をかけることで、より使いやすくなるだけでなく、長く使い続けることができます。
正しく使えば一生物になる、ともいわれる通り、使えば使うほど油がなじみ、調理しやすくなっていくのです。
繰り返し手入れを行い、使いやすく仕上げていく過程は、鉄フライパンを育てる、と表現されることもあります。
このようにして、自らの手で愛情をかけながら長く使い続けられるのも、鉄フライパンが人気となっている理由の一つなのかもしれません。