「なぜフッ素加工が危険だと言われている理由が知りたい」「インターネット上などで見聞きするフッ素加工の発がん性の有無が知りたい」と考えている方は多いでしょう。
フッ素加工に使われている有機フッ素化合物(PFAS)の中でも、PFOA・PFOSは分解しにくいため体内に残留しやすく、発がん性や免疫障害との関連性が疑われています。
しかし、2024年の段階では国際条約で製造や輸入が禁止されているのが現状です。
この記事では、フッ素加工の特徴や危険と言われる理由について紹介します。フッ素加工フライパンを買うかどうか検討している方は、参考にしてみてください。
参考
環境省|PFOS、PFOA に関するQ&A集 2023 年7月時点
フライパンのフッ素加工とは?
フッ素樹脂(PTFE)をコーティングのことです。食材が滑りやすく、焦げ付きにくいフライパンが特徴です。よく見聞きする「テフロン加工」は、アメリカのデュポン社が商標登録したフッ素加工フライパンのことをさします。
また、フッ素加工フライパンは加工方法によって細分化することが可能です。
- ダイヤモンドコート・・・ダイヤモンドの粉末を混ぜ込まれており耐久性が高い
- ハードコート・・・セラミックなどを配合しており、摩耗に強い
- マーブルコート・・・4層構造になっていてマットでオシャレな仕上がり
食材が焦げつきにくく、洗い流しやすいフッ素加工フライパンは汎用性が高く、一般に広く普及しているフライパンです。
フッ素加工が危険と言われる理由はなぜ
フッ素加工フライパンに使用されている有機フッ素化合物(PFAS)の一部には、健康被害や環境問題に悪影響を及ぼすおそれのあるPFOS・PFOAのような物質が使用されてきました。
これらの物質は分解が難しく、体内に蓄積しやすいため、長期間にわたって人体に健康被害を及ぼす可能性があることが報告されています。食物連鎖を通して人間がこれらの物質を摂取してしまう危険性は高いのです。
PFOSとPFOAを摂取し続けた動物には肝機能に悪影響が見られ、人を対象にした実験ではコレステロール値の上昇や発がん率の上昇、免疫障害等の影響が報告されています。
日本ではPFOSが2010年、PFOAが2021年に製造・輸入が全面禁止されています。
参考
環境省|PFOS、PFOA に関するQ&A集 2023 年7月時点
フッ素加工フライパンは安全!ただし使い方には注意
PFOSとPFOAの製造・輸入は全面禁止とされているので、2021年以降に購入したフッ素加工フライパンであれば、上記の有害物質を体内に取り入れるリスクはありません。
ただし、フライパンを空焚きして表面温度が260℃以上になると、フッ素樹脂(PTFE)が分解されはじめ、350℃前後になると有毒なガスが発生してしまいます。
フライパンを空焚きしすぎると、健康リスクもあることは覚えておきましょう。
フッ素加工以外で安全に使えるフライパン
フッ素加工以外のフライパンで安全性が高いのは主に以下の3つです。
- ステンレスフライパン
- 鉄・鋳物フライパン
- セラミックフライパン
ここでは、健康リスクが少ないフライパンの特徴についてご紹介します。
1.ステンレスフライパン
ステンレスフライパンはフッ素加工フライパンとは異なり、加熱しても有毒ガスが発生することがなく、有害物質を摂取してしまうリスクもありません。ステンレスは耐火性と熱伝導率が高く、錆びにくいのが特徴です。鉄よりも重量が軽い点も魅力ですね。
2.鉄・鋳物フライパン
鉄・鋳物フライパンは表面が加工されておらず、コンロやオーブンで加熱しても問題のない耐火性の高さが特徴。効果的に鉄分を摂取できるのもうれしいポイントです。
耐久性が高く半永久的に使えますが、洗った後はすぐ乾燥して錆を防止する必要があります。
また、油ならしを行ってフライパンに油をコーティングして、フライパンを育てていく必要がありますが、使い込むほどに油が馴染んでお手入れも必要なくなります。
3.セラミックフライパン
セラミックフライパンはアルミなどのフライパンにセラミックをコーティングしたフライパンです。有害物質が発生しない自然セラミック(陶器素材)が使用されています。
耐久性が高いので長持ちするのが魅力的です。ただし、セラミック100%ではないセラミックフライパンはコーティングが剥がれやすいこともあるので注意が必要です。
フッ素加工は危険ではない!別の素材も視野に入れてみよう
この記事では、フッ素加工の特徴や危険と言われている理由、フッ素加工以外で安心して使える素材のフライパンについてご紹介しました。
フッ素加工に使われてきたPFASの一種であるPFOA・PFOSは消化するのが難しく、遠隔地にいる人間の体内にも蓄積していくリスクがあり、発がん性や免疫障害などのリスクが報告されていました。ただし、2024年の段階では製造・輸入が禁止されています。
260℃以上の高温でフライパンを空焚きしなければ、フッ素加工フライパンが使用者に健康被害をもたらすリスクは低いと考えられるでしょう。
それでもフッ素加工フライパンの安全性が信頼できない場合は、ステンレスフライパンや鉄・鋳鉄フライパン、セラミックフライパンなどを選ぶのが賢明です。