PFASとは何かわかりやすく解説します【PFOSとの違いも】

PFASは、日常生活で知らないうちに接触している可能性がある化学物質のうちのひとつです。

用途が広く、消火剤やコーティング剤などに使われますが、「PFAS汚染」といって水道水などに含まれているケースもあり、環境や人体への影響が懸念されています。

この記事では、PFASとは何か、そしてPFASとよく比較される「PFOS」との違いも解説します。

「PFASってそもそも何?」「PFOSと何が違うの?」と不安に思う方はご覧ください。

目次

PFASとは何かわかりやすく解説します

まず、PFASとは一体何なのかを解説していきます。

PFAS(ピーファス)とは、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称です。

PFASは、1万種類を超えるとされています。

そんなPFASには、大きく分けて2つの特徴があります。

特徴①:耐久性が高く、分解されにくい

PFASは耐久性が高く、自然環境で分解されにくいという特徴があります。

PFASは、炭素とフッ素の化合物という極めて強力な化学結合であるため、熱や酸、アルカリなどの影響を受けにくいです。

それにより、PFASは「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」とも呼ばれ、環境中に一度放出されると分解されずに、長い間残ってしまいます。

そして、PFASが水源に入り込むと、PFAS汚染が広がります。

その水や汚染された食品を摂取することで、知らないうちに体の中にPFASが入ってしまうというわけです。

特徴②:水や油を弾く

PFASには、水や油を弾く特性もあります。

「撥水性」があるので、衣類や靴、アウトドア用などの防水加工剤として使用されています。水を表面に留めることなく、素早く流れ落ちるため、濡れにくいのがメリットです。

また油弾く「發油性」は、食品包装材や調理器具(フライパン等)に使われ、油を染み込ませたくない製品に役立っています。

これらのPFASが持つ撥水性・發油性は、水や油から守りたい製品に欠かせないことから、さまざまな用途に貢献していると言えます。

PFASとPFOSの違いとは

PFASと比較されやすいのが、PFOSです。

PFOS(ピーフォス)は「ペルフルオロオクタンスルホン酸」と言い、以前は世界中で広く使われていたPFAS化合物になります。

つまり、PFOSはPFASの一種です。

PFASとPFOSの違いを、以下の表にまとめました。

スクロールできます
項目PFASPFOS
定義炭素とフッ素の結合による化学物質の総称PFASの一種で、特に広く使われてきた化合物
使われていた製品フライパンのコーティング、食品包装材、衣類の撥水加工、泡消火剤など撥水剤、發油剤、泡消火剤、コーティング材など
環境への影響長期残留しやすく、生態系や水源に影響を与える可能性がある特に残留性が高く、広範囲にわたる環境汚染が問題視されている
人体への影響蓄積によるリスクが懸念されているが、影響の程度は物質による免疫系、ホルモンバランスへの影響や発がん性の可能性が指摘されている
規制の状況国によって規制が異なるが、一部ではまだ使用されている多くの国で製造・使用が禁止されている
分解のしやすさ多くは分解されにくいが、物質によって異なる非常に分解されにくく、環境中に長く残留する

それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。

違い①:定義

まず、PFASとPFOSでは定義が異なります。

PFASは「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称に対し、PFOSは「ペルフルオロオクタンスルホン酸」という、PFAS化合物です。

PFOSの歴史は長く、広く使われてきたこともあり、PFASのなかでも特別な位置付けにあると言えます。

違い②:使われていた製品

PFASとPFOSでは、使われていた製品によってもやや違いが見られます。

PFASはフライパンのコーティング、食品包装材、衣類の撥水加工、泡消火剤など、耐水性や耐油性が求められる製品に使用されていました。

一方、PFOSはその中でも撥水性や發油剤、コーティング材などに特化し、広く使われていました。

違い③:環境への影響

PFASとPFOSは、環境への影響に関してもやや違いが見られます。

PFASは、自然環境での分解が難しく、長期間に渡って残留する特徴があります。

対して、PFOSは非常に残留性が高く、水源や土壌に蓄積されてしまうため、広範囲にわたる環境汚染が深刻視されています。

違い④:人体への影響

PFASとPFOSは、人体への影響に関してもやや違いが見られます。

PFASは人体に蓄積しやすく、長期的に影響を及ぼすことが懸念されています。具体的には免疫系、ホルモンバランスへの影響があるとされています。

対して、PFOSは特に発がん性へのリスクが深刻視されています。そのためPFOSは多くの国で規制対象となっています。

違い⑤:規制の状況

PFASとPFOSは、規制の状況にも違いが見られます。

PFAS全体にする規制は国によって異なり、一部の化合物はまだ使用が続けられています。

一方、PFOSは有害性が明確であったため、現在では多くの国で製造や使用が禁止されています。この規制により、PFOSの使用は大幅に減少しました。

違い⑥:分解のしやすさ

PFASとPFOSは、分解のしやすさも違いが見られます。

PFASは非常に安定した化学構造を持っており、環境中で分解されにくく、長期間にわたって残留してしまうため問題になっています。

特にPFOSはその中でも分解が極めて難しい物質で、自然環境で浄化するのが困難です。この特性が、環境汚染を長期化させる原因となっています。

PFASやPFOSはフライパンに含まれている?

現在、多くの国でPFASやPFOSの使用が制限されているため、今販売されているほとんどの製品にはこれらの物質が含まれていません。

以前は、PFASやPFOSはフライパンのコーティング材として広く使われていましたが、その有害性が明らかになるにつれて、多くの国で規制が強化されました。

今では、PFASやPFOSを使用しない代わりに、セラミックやダイヤモンドコーティングなどのフライパンが主流です。

これにより、市場に出回っている多くのフライパンは、PFASやPFOSを含んでいないため、安心して使うことができます。

安全性の高いフライパンはほかにもあるので、詳しくは「体に悪影響がないフライパンとは【取り扱い方が大切です】」をご参照ください。

まとめ

PFASは「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称」です。

一方、PFOSは「ペルフルオロオクタンスルホン酸」というPFAS化合物で、PFASの一種になります。

PFASには水や油を弾く特性があり、以前はフライパンや食品包装材などに使われていました。

しかし、PFASは自然分解されずに環境に残り、水や土壌を汚染する可能性があります。

特に「PFOS」はPFASの一種で、日本では厳しく規制されており、現在は不可欠な用途以外での使用が禁止されています。そのため、今の日本で販売されているフライパンにはPFOSが含まれていません。安全性の高いフライパンを選ぶなら、セラミックや鉄製を選ぶのがおすすめです。

世界的にもPFASの規制が進んでいますが、個人でもできる対策を心がけて、健康面に気をつけてくださいね。

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