PFOSとは何かわかりやすく解説します【PFOSは何に使われていたのか】

PFOSとは?

PFOSは、過去に世界中で幅広く使われていた化学物質のうちのひとつです。

しかし、現在は環境や人体への悪影響が懸念され、使用が制限されています。

この記事では、PFOSとは何か、そして具体的に何に使われていたのかについて、わかりやすく解説します。

ニュースやSNSなどでPFOSのことを知り、不安に思っている方はぜひご覧ください。

目次

PFOSとは何かわかりやすく解説します

PFOS(ピーフォス)とは、「ペルフルオロオクタンスルホン酸」のことで、有機フッ素化合物の一種です。

この物質は、炭素とフッ素の強力な結合によって非常に安定した化学構造を持っています。

ここでは、PFOSの大きな特徴を2つ見ていきましょう。

特徴①:撥水性・撥油性がある

まずPFOSには、水や油を弾く性質があります。

PFOSはフッ素原子を多く含み、水分子や油分子とほとんど反応しません。

したがって、PFOSが塗布されていると水や油が付着せず、弾く性質が生まれます。

この特性を活かして、撥水加工や撥油加工が必要とされる製品に広く使用されていました。

後ほど詳しく紹介しますが、主に繊維や紙製品、フライパンのコーティング、消火剤などで活用されていました。

特徴②:自然環境での分解が難しい

PFOSには、自然環境での分解が極めて難しい特徴もあります。

これは、PFOSが「炭素とフッ素の結合」という自然界でも特に強力な結合でできており、非常に安定した分子構造を持つためです。

この特性はPFOSが有用な物質として利用される一方で、分解されにくいため、環境中に一度放出されると非常に厄介な問題を引き起こします。

PFOSは永遠に存在し続ける化学物質を指す「フォーエバーケミカル」とも言われています。

PFOSの有害性として、水源や土壌の汚染や、PFOSが含まれた飲料水を飲んだ際の人体への影響が懸念されています。

PFOSは何に使われていたのか

PFOSは、2017年から事実上すべての用途で製造・使用が禁止されています。

過去にはどんなものに使われていたのか、産業用途と家庭用途の2つに分けて紹介します。

産業用途での使用

PFOSの優れた特性は、さまざまな産業分野で利用されていました。

代表的な用途には、以下のようなものがあります。

①衣料品・包装紙

PFOSは、撥水・撥油性を必要とする衣料品や包装紙に利用されていました。

防水性が求められるアウトドアウェアやレインコート、耐油性が求められるファーストフードの包装紙にも、PFOSが使用されていました。

②泡消火薬剤

PFOSは、航空機や化学工場の火災を消すための、泡消火薬剤の一部に使われていました。

空港の滑走路での火災や、石油タンクの火災のときに使用されました。

この消火剤は、火災現場に泡を広げて酸素を遮ることで、火が広がるのを効果的に防ぐ重要な役割を果たしました。

③電気・電子製品のコーティング剤

PFOSは、スマートフォンやタブレットなどの防水コーティングにも使用されていました。

このコーティングにより、デバイスが水に濡れても内部に水が侵入しにくくなり、製品の寿命を延ばす効果があります。

また電子基板のコーティングにも利用され、湿度や水から基板を保護することで、製品の信頼性を高めることに貢献していました。

家庭用品での使用

PFOSは産業用途だけでなく、以下のような家庭用品にも広く利用されていました。

①フライパンのコーティング

PFOSは、テフロン加工のフライパンに使用されていました。

この加工のおかげで、調理中に食材がフライパンにくっつきにくくなり、調理もお手入れも楽にしてくれます。

また、テフロン加工されたフライパンは家庭用だけでなく、業務用の調理器具としても広く利用されていました。

②カーペットや家具の汚れ防止加工

PFOSは、防汚カーペットや防水ソファにも使用されていました。

汚れ防止加工が施されたカーペットは、液体をこぼしても繊維が汚れにくく、掃除が簡単になります。

また、防水加工されたソファや椅子の生地にもPFOSが使用されており、ジュースやワインなどの液体をこぼしても、染み込むのを防いでくれました。

PFOS規制後の代替品は?

現在ではPFOSの使用が厳しく制限されており、多くの製品でPFOSに代わるものが採用されています。

たとえば、以前はフライパンのコーティングにPFOSが使われていましたが、今ではPFOSを含まないフッ素樹脂加工やセラミックなどの代替素材が使用されています。

また、泡消火薬剤にもPFAS(有機フッ素化合物の総称)を含まない、環境に配慮された製品が開発され始めています。

参考:能美防災株式会社「環境に配慮した泡消火薬剤を開発」

このように、環境や健康への配慮を重視しつつ、従来のPFOS製品と同等の性能を持つ新しい製品の開発が進んでいます。

まとめ:PFOSは有機フッ素化合物で様々な用途に使われていた

この記事では、PFOSの特性から用途、規制後の状況について解説しました。

PFOSは、「撥水性・撥油性」「自然環境での分解が困難」という特徴がある、有機フッ素化合物の一種です。

その特徴を活かし、過去には産業から家庭向けの製品まで、さまざまな用途に使われていました。

ただ、かつて多くの製品や産業において欠かせないPFOSでしたが、現在では環境や健康への影響が問題視されるようになり、使用が制限されています。

そのため、現在ではPFOSを使用しないフライパンのコーティングや、泡消火薬剤などが開発されるようになりました。

現在も世界中でPFOSに対する対策が進められているので、PFOSの特性と危険性を踏まえて、これらの対策を確認していきましょう。

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