PFASの水道水汚染が話題に…|汚染理由はなぜか解説【注意点も】

近年、PFASによる水道水の汚染が大きな話題となっています。

PFASは以前、さまざまな製品に利用されてきた化学物質です。しかし、自然環境で分解されにくく、水に溶けやすい性質があるため、水道水に含まれていることがあります。

「PFASは体に悪い」という噂も広まっており、水道水を飲むことに抵抗を感じる方も多いでしょう。

この記事では、PFASが含まれた水道水の地域や汚染の原因について解説します。

PFASに対する対策や注意点も併せて紹介しますので、水道水に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。

目次

PFASの水道水汚染が話題に…

国内すべての地域ではありませんが、一部の地域では水道水のPFASの暫定目標値を上回っています。

たとえば、岡山県にある吉備中央町(きびちゅうおうちょう)では、国の暫定目標値(50ng/L)をはるかに上回る「1400ng/L」のPFASが検出されたという報道がありました。

この結果を受けて、血液検査が行われ、調査対象の27人全員の血液中のPFAS濃度が、1ミリリットルあたり362.9ナノグラムに達していることが確認されました。この数値は、米国の専門機関が指摘する健康リスク基準(20ng/mL)のおよそ18倍に相当します。

また、住民を対象にしたアンケートでは、30代から40代の女性5人中3人が流産を経験していたことが明らかに。

PFASの血中濃度と流産の直接的な因果関係はまだ確定していませんが、海外では関連性が指摘される研究も発表されています。これにより、住民からは「PFASの早期規制を求める声」が上がっています。

令和3年度に行われた水道水の調査では、この岡山県吉備中央町「多度中部送水場」と、三重県桑名市「多度中部送水場」の2地点が国の基準値を超えていました。

しかし、2024年10月現在では、両地点ともに基準値を下回っており、通常どおり水道水を使用できる状態になっています。

参考文献

PFASの水道水汚染理由はなぜか解説

続いて、PFASによる水道水の汚染理由を解説します。

PFASが水道水に含まれる理由には、2つの要因が考えられます。

理由①:工場からの排水

PFASが水道水に入ってしまう主な原因は、工場からの排水と言われています。

PFASは主に、化学工場や製造業で使用されてきた化学物質です。

しかし、その工場からの排水が川や地下水に流れ込み、最終的に水道水まで到達するため、水道水にもPFASが含まれてしまうようです。

現在では一部のPFASが規制されていますが、規制がなかった頃の排水が残留している可能性があります。

理由②:泡消火剤

PFASが水道水に含まれてしまうのは、泡消火剤も原因と言われています。

泡消火剤とは、航空機や製造所などで火災が起きた際に、火を消すために使われる消火剤です。

この泡消火剤にも以前はPFASが含まれていたため、これも水道水の汚染につながったとされています。

ただ、現在ではPFOSの使用の制限を受け、PFOSを含まない泡消火剤が製造・販売されています。

参考:一般社団法人日本消火器工業会「PFOS等を含有する消火器・消火薬剤の取扱いについて」

PFASに関する対策や注意点

続いて、個人でもできるPFASに関する対策や、注意点を紹介します。

浄水フィルターを使う

手軽にPFAS対策を行うなら、PFASを除去できる浄水フィルターの導入がおすすめです。

たとえば、水関連商品を専門に取り扱う「ブリタ(BRITA)」が販売している浄水フィルターカートリッジは、PFOSおよびPFOAを80%以上除去できることが、第三者機関により確認されています。

美味しく安全に水道水を飲むためには、上記のような浄水フィルターを利用するのが良いでしょう。

参考:BRITA「ブリタ浄水フィルターカートリッジによるPFAS (PFOS/PFOA) 除去性能について」

健康リスクを理解する

PFASによる健康リスクをしっかり理解しておくことも大切です。

国際がん研究機関(IARC)は、PFOAやPFOSについて、ヒトに対して発がん性の可能性があると評価しています。

内閣府食品安全委員会では、PFASによる健康への影響について詳しく記載しているので、一度チェックしてみることをおすすめします。

参考:内閣府食品安全委員会「PFOA(パーフルオロオクタン酸)及びPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)に対する国際がん研究機関(IARC)の評価結果に関するQ&A」

国の対応を注視する

PFASに対する、国の対応も注視していきましょう。

現在、環境省や厚生労働省が基準値の見直しや、規制の強化に向けた調査を進めています。

そのため、政府の対応を注視し、必要な情報を積極的に取り入れ、適切な対応を講じるようにしましょう。

参考:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」

PFASが入った水道水は沸騰すれば大丈夫?

「PFASを取り除くには沸騰すればいいのでは?」とよく聞かれますが、実はそれでは効果がありません。

PFASは非常に安定した化学物質なので、沸騰消毒させても取り除くことができないようです。

除去したい場合には、上記でも紹介した浄水フィルターや、RO膜などのろ過装置を使うのが効果的です。

ただし、これらの方法でも完全に除去できるわけではありません。気になる方は、加熱殺菌されたペットボトルやウォーターサーバーの国内産の天然水を飲用するといいでしょう。

まとめ

本記事では、PFASによる水道水の汚染について解説しました。

令和3年度の水道水におけるPFASの検出状況では、岡山県の「円城浄水場」と三重県の「多度中部送水場」の2地点で、国の基準値を超える結果が確認されています。

このような水道水の汚染は、工場からの排水や泡消火剤の使用によるものと言われています。

現在は水道水として問題なく使用できるものの、PFASから身を守るためには、個人でできる対策を講じることが重要です。手軽にPFASを除去するには、除去効果が証明された浄水フィルターを導入する方法があります。

また、PFASに対する国の動向も日頃から確認し、最新の情報を把握しておきましょう。

PFASによる影響を正しく理解し、毎日の生活に欠かせない水をより安全に取り入れてみてください。

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